【金正日の国防委員長就任に際し、国内外に訴える】

 

私たちは1959年暮れから1984年の間に、日本から北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に帰国した93千人の人々の生命と人権を守るために、また地獄のような山の中の強制収容所の解体を求めて、4年前から活動している市民団体です。

このたび金正日は国防委員長に就任したと伝えられます。金日成の死後、金正日は軍が人民であり、国家であり、党であるという、すべてを軍事で処理する軍事独裁体制を固めてきました。国防委員長就任はその総仕上げに過ぎません。この機会に、この軍事独裁体制が国内的には国際人権規約からの脱退を意味するほどひどい人権抑圧体制であることを強調しないわけにはいきません。金正日の国防委員長就任に際し、私たちは以下の理由から強い遺憾の意を表明します。

 

  1. 金日成・金正日政権と朝鮮総聯は、帰国者を人質にとり、帰国者や日本の家族が真実を語ることを抑圧し、金品だけは援助させるという、むごい人権政策を40年近くとり続けていること。
  2. 北朝鮮の山の中には恐怖政治の象徴であり、地獄のような強制収容所が10いくつもあり、そこでは帰国 者も多く犠牲者となり、今もなお多く囚えられていること。金正日は金日成の威信が低下するとして、 この存在を徹底的に秘匿してきたが、収容所体験者姜哲煥・安赫・安明哲・李順玉諸氏の勇気ある手記 により、白日の下にさらされ、去る819日採択の国連人権小委の決議も、虐待されている政治囚を 数万と認定するところまできていること。
  3. 金日成・金正日政権は帰国者はもとより北の国民に出入国の自由を与えてこなかったこと。帰国者と日本人妻は親族訪問の自由すら40年近くも奪われてきたこと。
  4. 横田めぐみさんを始め、多くの一般市民を北に拉致しながら、その事実と存在を一切否認するという、不誠実極まりない態度をとっていること。

 

私たちはこの機会に改めて金正日にこれらの撤廃・改善を求めますが、その解決には世界の、国内外の強力な人権の声が必要です。併せて以下の四つを求めます。

 

  1. 世界は、今回の国連人権小委の決議が求めたように、無条件の食糧支援を改め、人権状況の改善をハッキリ要求すべきである。
  2. アメリカは北朝鮮に対しても人権外交を貫くべきである。強制収容所に対しハッキリものを言うべきである。
  3. 日本政府も日赤も、人権の立場にしっかり立って、日本人被拉致者の原状回復、日本人妻里帰りの無条件実施、帰国者の自由往来実現のため、奮闘すべきである。そうしなければ日本国憲法は画にかいた餅である。
  4. 日本のマスコミは、今回の国連人権小委決議に対する無関心ぶりを反省し、北朝鮮の強制収容所の問題や帰国者と家族を苦しめているむごい人質政策について日常的に報道すべきである。

 

今年の1210日は、世界人権宣言50周年の日です。北朝鮮の山の中の収容所の実態を知らずに、この日を迎えることは恥ずかしいことですし、北朝鮮の収容所を解体させずに、21世紀を迎えるとしたら、今日を生きる私たちは後世の歴史から大きな批判を受けることになるでしょう。

世界人権宣言と瓜二つの恵まれた憲法をもつ日本に生きる者は、北朝鮮の人権状況を改善するために、とりわけ大きな責務があることを、最後に強調したいと思います。

 

1998 9 7

 

北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会

共同代表

連絡先: 03-5978-3636

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