政府・自治体の外国人政策年表/1981〜1990

作成:渡戸一郎(明星大学)


1981.   1  日本政府、国際難民条約を批准

       ⇒ 国民年金、児童手当等、定住外国人にも適用へ

       ⇒ 公的往宅の入居資格に関して外国人への門戸開かれる

    3  つくぱ市(現)でポランティアグルーブ「虹の会」発足 ⇒ 日本語教室開始

    4  東京入管理、団資格外活動事件の一斉摘発(都内18カ所及ぴ川口市内3カ所)

       この年、研修ビザ制度発足

       神奈川県、在住外国人間題検討会(庁内組織)発足 ⇒ 「内なる民際外交」へ

       兵庫県、教員採用の国籍条項撤廃


1982.   1  難民の地位に関する条約、日本で発効

       特例永住許可制度の開始

       大村難民一時レセプションセンター開設

       就学ビザ発給開始

    4  名古屋市秘書室に国際室を設置(渉外係を改組拡充)

    8  改正外国人登録法成立 ⇒ 同年10月施行

    9  国公立大学外国人教員任用法施行

       この年、横浜市、私立外国人学校補助開始

       第5回「シンポジウム・地方の時代」開催(テーマ:自治体の国際交流)

       浜松国際交流協会発足

      * 指紋拒否訴訟連絡協議会発足


1983. 7  指紋押捺拒否者、初の逮捕(京都)

   11  インドシナ難民の定住枠を3千人から5千人に拡大することを閣議決定

       この年、国際結婚年間1万件を突破(全体の1.4%)、うち67%が夫日本人・妻外国人

       21世紀への留学生政策懇談会発足、後に「留学生10万人計画」を発表

       留学生のアルバイト解禁を閣議決定(学業に支障をきたさない一定範囲で許容)

       神奈川県、外国人登録法の改正を国に要望

       神奈川県、県内在住外国人実態調査委員会発足 ⇒ 86年、報告書出版

       東京都豊島区、全国で初めて国保条例で外国人への適用を認める

      * 大阪・生野民族文化祭組織される

       全国在日朝鮮人教育研究協議会発足


1984. 10  財団法人名古屋国際センター開設(市民レベルの国際交流拠点)

       この年、神奈川県知事と県内市町村長の連名で外国人登録法の改正を国に要望

       郵政省外務職員の国籍条項撤廃

       厚生省による中国残留婦人・孤児の受入れ体制の整備すすむ

      * 指紋押捺拒否予定者会議発足

       コブクソン子供会(荒川)発足

       在日同胞の生活を考える会発足


1985.   1  国籍法改正⇒父系主義から父母両系主義へ

    2  川崎市長、外国人登録法の指紋押捺に対する拒否者を告発しないと表明

       神奈川県、「内なる民際外交シンポジウム
                −地域と国際化・外国人県民と共に生きる−」 開催

    7  インドシナ難民の定住枠拡大にかかる閣議決定(5千人から1万人へ)

    8  外国人登録の大量切替⇒指紋押擦拒否運動盛り上がる

       この年、大阪市、教育センター校を設け、そこに「日本語適応指導教室」を設置

       神戸市、留学生奨学金の支給開始

       山形県戸沢村、国際交流塾発足、アジア・アフリカの農業青年との交流開始

       山形県朝日村、行政主導型の国際結婚の推進に着手。
       以後、同様の方式が他の町村に広がる

       沖縄国際センター(国際協力事業団)開設

      * コムスタカ(熊本)設立、以後外国人労働者支援組織が増加

       木苺舎(東京)、民族名をとりもどす会、発足


1986. 2〜4  法務省、定住外国人の意議調査を実施

    2  中国、公民出境入境管理法、施行(解放後、初めて私用による出国認められる)

    3  川崎市「在日外国人教育基本方針〜主として韓国・朝鮮人教育〜」制定

    4  都立高校で中国帰国者の受入れ開始

    5  外国人弁謹士による法律事務の取扱いに関する特別措置法成立 ⇒ 87.4施行

    6  法務省、定住インドシナ難民実態調査を実施

     11  法務省、不法就労外国人対策月間の実施

       この年、初めて不法在留で摘発された外国人が1万人を越える

       外登法の改正を求める自治体決議1072議会に達する

       外国人に対する国保適用開始

       外国人就学生受入機関協議会が発足

       横浜市、国際交流ラウンジ開設

       横浜市、帰国・外国人児童生徒特別指導・日本語教室開設

       神戸市、留学生住宅の提供開始

       山形県最上郡大蔵村、国際結婚の推進に着手

      * 神奈川インドシナ難民定住援助協会(神奈川)、在日フィリピン人女性連盟、

       女性の家HELP(東京)、あるすの会(愛知)設立


1987. 8  入管協会、発足。『国際人流』創刊

    9  改正外国人登録法成立(指紋押捺を原則1回限りとする)⇒88.6施行

       法務省プロジェクトの提言、外国人労働者の受入れ拡大を検討

   10  豊島区、国際化対策委員会(庁内組機)設置

   12  法務省、外国人の就労に関する意識調査結果を発表

       この年、帰化韓国人の復姓(民族名)が許可される

       自治体職員の現業職に限り、国籍条項の撤廃すすむ

       沖電線就職差別問題

      * 在日外国人の公務員採用を実現する東京連絡会、カラバオの会、
       ペルー日系クラブ(神奈川)、アジア人労働者間題懇談会、APFS(東京)設立


1988.  1  法務省、外国人労働者問題検討委員会を設置

       労働省、就労資格に関係なく労働法規の適用を認める

    2  金甲順訴訟東京地裁判決。受給要件を満たしていないとして、
      国民年金受給請求を棄却

    3  法務省、「外国人労働者問題に関する当面の方針一入管法改正作業の着手」発表

       労働省、「外国人労働者間題研究会」報告発表、専門職受入れと未熟練労働者の
       規制を提言 ⇒ 外国人労働者受入れをめぐって議論拡大

    5  内閣官房に「外国人労働者間題特別委員会」設置

    4  豊島区、「国際化対策元年」とし、国際化関連予算を計上
      ⇒ 庁舎内のサインの外国語併記、外国語版情報誌発行、
        外国人相談窓口開設等、17事業を実施

    6  川崎市、ふれあい館開館

    6  外国人登録法改正、指紋押捺を原則1回とする

    6  労働省調査で建設・サービス業で技能労働者不足104万人

    7  総理府の外国人未熟練労働者受入れに関する世論調査で、
      受入れ容認が過半数を超える

    7  目黒区、豊島区で外国人相談開始

    8  東京法務局、外国人対象の「人権相談所」開設

    9  労働省、外国人雇用許可制度を先送り

    10  資格外就労者摘発者数、はじめて男性が女性を上回る

    10  就学生急増に対し、東京入管局が入国審査強化を通達

   10〜11 法務省、不法就労外国人対策月間を実施

    11  上海就学生間題発生(上海日本領事館に就学生ビザを待つ人が座込み)

    12  川崎市、条例で外国人留学生に「修学援助金」支給を決定

       文部省、法務省、「日本語教育施設の運営に関する基準」を決定

       この年から、日系人出稼ぎ増加、外国人のための日本語学校が各地で増加

       神奈川県、県内在住インドシナ難民実態調査を実施

       神奈川県職員採用職種枠の大幅拡大(技術系、現業系、研究員合わせて51職種)

       横浜市、留学生生活支援金(月額10万円)支給開始(〜1993年度まで)

       新宿区、外国人児童・生徒向け「フレンド教室」開設

       豊島区、「国際化に関する行政需要調査」実施

       大阪府「在日・韓国朝鮮人間題に関する指導の指針」策定

      * 民族差別と闘う神奈川連絡協議会(神奈川)、アジアフレンド(大阪)、

       FAS(静岡)、CALLネットワーク(東京)設立


1989.  1   バングラデシュ、パキスタン両国との査証相互免除取決めの一時停止

    1  日本語学校、相次いで「適格校」取消処分、留学生が抗議

    1  韓国、海外渡航完全自由化

    3  法務省「外国人労働者問題検討委員会」報告、未熟練労働者受入れには慎重姿勢

    4  最上広域市町村圏事務組合、国際交流センター開設

    4  新宿区、総務部に平和・国際交流等担当課を設置⇒庁内検討委員会で施策を検討

      新宿区、外国人児童・生徒向け「日本語適応教室」開設

    5  日本語教育振興協会設立

    6  天安門事件

    9  川崎市、国際交流協会設立⇒外国語市民相談開始

       川崎市、外国人留学生修学援助金支給開始

       東毛地区雇用安定促進協議会、日系ブラジル人の直接雇用を開始

    10  超過滞在者10万人突破

    10  政府、「外国人労働者間題に関する日本政府の基本方針」を発表

    11  大阪在住イギリス人が国政選挙権を求めて大阪地裁に初の提訴( ⇒ 91.3棄却)
      ⇒ 91年には地方参政権を求めて提訴

    12  出入国管理法改正案成立 ⇒ 90.6 施行(日系2世3世に定住者ビザ発給)

       この年、人手不足倒産急増⇒産業界で外国人労働者受入れを求める声が急速に拡大

       国際結婚年間2万件を突破(全体の3.2%)、うち78%が夫日本人、妻外国人


1990.  2   フィリピン人労働者が労組結成

    2  財団法人日本語教育振興協会の設立

       山形県戸沢村、外国籍夫人のための日本語教室を開設

    4  神奈川県愛川町、2つの学校で日本語指導学級を開設

    4  東京都、「女性の家HELP」に助成開始

    5  初の全国外国人結核調査報告で、高い罹患率が明らかになる

    7  東京入管局内に「外国人在留総合インフォメーションセンター」開設

    8  『警察白書』で初の在留外国人特集

    8  法務省、研修生の基準を緩和

    9  在日韓国人二世グループ、定住外国人の地方参政権を求めて大阪地裁に初の提訴

     10  群馬県大泉町、外国籍児童・生徒向けの日本語学級開設

     10  厚生省、定住外国人以外の外国人は生活保議法の対象とならない旨の口頭通達
      ⇒ 以後、外国人医療問題が深刻化

     10  12カ国語で初の国勢調査を実施

     12  川崎市外国人市民施策推進幹事会、24項目検討課題を公表

     12  外国人登録者100万人を突破

     12  国連「移住労働者とその家族に関する権利保護に関する国際条約」採択
         (日本は未批准)

       この年、横浜国際交流基金からの民間団体への助成開始

       神奈川県、在日外国人(主として韓国・朝鮮人)に関わる教育基本方針制定

       神奈川県、外国人労働者間題調査を実施⇒92年、報告書の一部を出版

       神戸市国際コミュニティセンター開設

      * ハンドインハンドちば(千葉)、外国人労働者弁護団(東京)、へるすの会(静岡)、
       かながわ女のスペースみずら、ラテンアメリカ系労働者を支援する会(神奈川)発足


(資料)

法務省「入管白書」、『国際人流」、宮島・梶田編『外国人労働者から市民へ』
駒井・渡戸編『自治体の外国人政策』、新聞各紙、その他から作成

* 印は民間団体

[1945〜1980年] [1991〜1998年] [ホーム]

【共住懇】http://www.ngy.3web.ne.jp/~kyojukon/