第4期おおくぼ学校 れぽーと 3

 【第2シリーズ:全5回の連続講座】

「いま、この人たちの話が聞きたい!−外国人支援を実践するための基礎講座−」

VOL.29

「移住労働者って、どういうひと?外国人労働者を取り巻く環境について考える」

お話:APFS 代表 山口智之さん

 ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(略称:APFS)は、1987年に設立された外国人支援団体(NGO)です。現在までの会員数は累計で3000人を超えています。労働相談、在留資格、その他生活全般にわたる相談を外国籍住民から受け、共に解決を目指しています。

山口智之
独協大学中退。学生時代よりさまざまな社会問題に取り組む。1998年APFSにボランティアとして参加。2002年より同団体専従。本年4月より代表。山口さん1

著書
 『子どもたちにアムネスティを
 在留特別許可取得一斉行動の記録』
 (出頭者プロフィール)
    2002年 現代人文社

 
 『日本における移民政策を考える
   人口減少社会の課題』
(第四章 非正規就労者の抱える労働問題 ―相談現場からかいま見えてくるもの)
    2005年 明石書店

 東京都板橋区大山には、南アジア(バングラディシュ、インド、パキスタン、ネパール)から多くの人が来ていた。山口さん2

 前代表の吉成勝男(よしなり かつお)さんがバングラディシュ人と知り合い、相談を受けることで活動が始まった。やがて相談件数が増え、組織的な支援体制が必要になった。一般に支援団体は、キリスト教系団体と労働組合系団体に大別されるが、APFSはそのどちらでもないNGOとして活動している。

 事務局長のTOTA MIAH(トタ ミア)さん(下画面の右)は、バングラディシュを離れて15年になる。韓国から千葉を経て群馬で働いていたが事故に遭い、支援を求めて東京のAPFSを訪れた。

  

山口さん、トタさん

                    

 現在、日本国内には約200万人の外国人が居り、80万人程が外国人労働者といわれている。その一部は、言葉、差別、資格などの問題を抱え、劣悪な労働環境にある。指導不足、疲労、安全対策の欠如などから地方の中小企業での事故が目立っている。2003年頃からは、在留資格相談が増えている。国際結婚の増加に伴い、DVや離婚相談も増えている。

『在留特別許可の可能性』と『可能性としての在留特別許可』

― 非正規滞在家族の直面する課題 ―

【在留特別許可】
 非正規滞在外国人にとり大きな意味を持つこの許可は、出入国管理及び難民認定法の第50条に拠っています。「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」非正規滞在者は退去強制されることなく、日本で暮らすことを許されるのです。近年、この在留特別許可を認められる非正規滞在者が激増しています。ことに2003年以降は毎年1万人を越える人々に許可されるようになっています。しかし法務省はこれまでホームページ上で許可事例を79件、不許可事例を25件発表しているものの、その明確な判断基準は未だ示していません。子どものいる非正規滞在家族に関しては微妙な判断(裁決)が続出しています。私たちは在留特別許可の可能性をどのように考えればよいのでしょうか。
 また、欧米諸国などでは実施されているアムネスティ(一定条件の下での非正規滞在者一斉合法化)を日本政府ははっきり否定しています。より多くの非正規滞在者の救済=合法化に向け、在留特別許可はどのような可能性を持っているのかという点もあわせて多くの方々と共に考えていきたいと思います。

  06年 7月30日 開催:シンポジウム より

ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)

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