泌尿器疾患であげられるのが、膀胱炎、尿路結石、腎炎、腎不全などです。
膀胱炎の症状は、主に血尿などで発見されます。膀胱炎は尿路系からの細菌感染などによって引き起こされやすく、膀胱粘膜の炎症によって出血などが起こります。尿検査で潜血などを確認して、必要であれば、尿の培養などを行います。治療は尿路系に効果のある抗生物質の投与になります。見た目で血尿がなくなっても尿に潜血反応が見られることがありますから、潜血反応が改善されるまでしっかりと治療することが必要です。
尿路結石は結石が尿道に詰まったりして排尿障害および食欲不振を示します。また、陰部から出血しているなどというときには尿路結石の可能性が高いです。このようなときはレントゲンやエコ−で結石を確認する必要があります。結石の成分はおもにカルシウムです。これはハムスタ−のカルシウムを尿中に排出する量が多いためです。カルシウムなどの結晶は尿中に見られますが、この結晶成分が集まって結石になると尿道に詰まり、排尿障害などを引き起こします。治療は排尿障害が改善しなければ、外科的な処置が必要です。多少なりとも尿がでるようであれば、内科的にカルシウム濃度などを下げるなどして治療を行います。
腎炎の原因は、尿路系の細菌が腎臓の細胞に炎症を引き起こし、尿が濃くなったり尿の臭いがきつくなったりします。治療は尿路系に効く抗生物質の投与になります。腎炎と症状的に似ているのが、腎臓の腫瘍になります。こちらの場合は触診で腎臓の腫大や腫瘍などの異物感で確認できます。腫瘍の場合は抗癌剤などの内科的療法と抗生物質の投与になります。
腎不全は急性と慢性があります。慢性の場合は老齢のために腎臓の機能が低下してきて、多飲多尿などを示したりします。慢性的な腎不全で腎臓が壊れてしまうと、腎臓は治療しても回復しませんから、残っている腎臓機能を使っていくしかありません。なるべく尿を出すために皮下補液などで利尿をかけるなどして延命をはかります。
(症例 腎疾患)ジャンガリアンのオスです。尿の量が他の子に比べると多いのですが病気でしょうか?1ヶ月半ほど前に骨折と診断されましたが、現在はくっついたようです。この子はケージに新聞紙をしています。(1999/4/4神奈川県 K・Y様)
コメント;2才オスで、尿量が多いということですが、餌を変えたり変わった物を与えたりということがなければ年齢から考えて、おそらく腎臓に疾患があるのかと思います。腎臓に疾患がある場合、初めは尿量が増加しますが、症状が進んでくると今度は尿が減少してきます。こうなってくると脱水も進んきますし、尿が排泄できなくて尿毒症を示して神経症状を示したりしてきます。こうなってきたら対処療法として、体は酸性に傾いているアシド−シスという状態にあたりますから、乳酸リンゲルという輸液剤で皮下に補液してアルカリ性にひっぱってあげて、尿をうすめてあげるとよいと思います。腎臓だけが悪いのでしたら、このような対処療法でしばらく安定させることが可能です。骨折との関連性はないでしょう。
(★症例 多飲多尿)ゴールデンハムスター、2歳5ヶ月、オスで1匹でゲージで飼っています。ここ1ヶ月ぐらい、水を飲む量が多くなり(1日ウォーターボトル(小)1本)、尿の量もそれに伴い増えています(今までの2〜3倍)。その他の健康状態は餌もよく食べ、動きも活発ですこぶる快調に見えます。腎臓か何か悪いところでもあるのでしょうか。(1999/4/25 H・R様)
コメント;ゴ−ルデンのご相談ですが、年齢が2.5才とかなり高齢です。各臓器の機能低下が起こってきてもおかしくない時期です。多飲多尿ということですが、多飲で考える疾患は、慢性腎不全(初期から中期)、肝疾患、ホルモン異常などが考えられます。多飲多尿のみ症状がはっきりしているので、確定診断には血液検査などをしないとわかりません。なにか他の症状がでれば、なんとなく予想はつきます。腎不全などでしたら補液をしてBUNという血中尿素窒素を下げていかないといけません。しかしながら、年齢からして、このような治療は逆にストレスになりかねないので、どこまで治療するかは飼い主の判断に任せられます。病院に連れて行くだけでもストレスで弱ってしまう子もいますから注意が必要です。
(症例 白尿)ゴ−ルデンハムスタ−、オス1週齢。おしっこが真っ白なのにきずきました。以前は気にしていませんでしたので、恐らく、家に来てから、ずっと白いおしっこをしているようです。何か悪い病気なのでしょうか?(1999/5/4 東京都T・K様)
コメント;次に尿の件ですが、白い尿でもさほど問題はありません。食事が脂肪分を多く含む物だったり、生理的な現象でもありますから、膿尿というもの以外は心配しなくてよいでしょう。診察の段階でしたら、尿検査用のスティックで、PHと潜血反応を調べてみて、膀胱炎、尿石症などないことを確認します。
(症例 血尿)ジャンガリアンのメス1年7ヶ月です。3日位前からトイレの紙に色のついた尿をするようになりました。巣材にはついてません。色はサーモンピンクに近く、尿は100%色つきというわけではなく、普通の色のときと半々より少し少ない位です。量は別に変わってないように見えます。水をのむ量も変化はないと思います。(1999/5/10 Y・N様)
コメント;尿がサ−モンピンクでしたら、一応血尿を疑って尿スティックというもので、尿の潜血があるかどうかを確認します。もしあれば膀胱炎だと思われますから、抗生物質の経口投与で炎症を抑えといった処置をします。
(症例 急性腎炎による血尿)メスのジャンガリアン、約1歳です。金網2階建てのケージでパインチップを床材にして1匹で飼っています。体重55グラム。飼った当初から、耳に傷があり、左足を怪我した事があるのか歩くときに足をヒョイと持ち上げるクセがあります。一週間くらい前から食欲がなくなり、水も飲まなくなりました。先週、食べ物飲み物を全く口にせず、急にぐったりしてきて、おしっこの色が濃くなり、手足が黄色く冷たくなり、ツメも黒くなり、目やにで目がくっついてしまいました。病院に連れて行くと、血尿が出ていて下腹部に腫瘍があるのでもう長くはないと言われました。その後数日は、自分でご飯が食べられなかったので目がさめた時には野菜を中心に食事をさせていました。(ペレットなどの普通のエサが食べられなかった)あれから、かれこれ一週間以上たちますが、毛並みも前のように良くなり、食欲も正常、おしっこの色も正常(血尿は3日続き、その後だんだんと薄くなり、5日目で普通に戻った)になりました。床材は目に良くないと思ったので、現在はキッチンペーパーをひいて朝・晩よごれた所を取り替えています。この子の病気は一体なんだったのでょうか。(1999/6/12 W様)
コメント;下腹部の腫瘍というのは、どのように判断してもらったのでしょうか?レントゲンで陰影が写っていたり、あるいはエコ−で腫瘍らしきものがあったり、バイオプシ−でしょうか?
内蔵の腫瘍は非常に難しく、リンパ腫を含め、臓器に癒着していたり、排尿、排便困難をしめしたり、非常に重篤な急性症状を示します。抗癌剤を投与してもなかなか腫瘍を抑えることができないのが現状です。
メ−ルを読む限り、尿が減少して血尿が出ていたということから、急性の腎炎などが考えられると思います。ビリルビンという尿や糞の色のもとが排尿困難で四肢に沈着して、さらに腎炎を引き起こした細菌により眼が結膜炎などを引き起こしていたりというのが考えられます。これなら、炎症が治まれば血尿は改善しますし、尿も正常に戻ってきます。このまま正常であればさほど心配はいらないかと思いますが、もし腫瘍なのでしたら抗癌剤での内科的療法は継続的に必要となるかと思います。
(症例 腎盂腎炎と慢性腎不全) ジャンガリアン(♀)年齢推定1年半くらいです。交尾・出産の経験はありません。体重は現在45gくらいです。ペットショップで購入。経過...つい2ヶ月くらいまで、ヒマワリの種を与え過ぎたせいか60gくらいあり、2ヶ月くらい前からヒマワリの種を与えない様にダイエットをしてきました。当初は、少しずつですが体重が減りはじめて良かったのですが、半月くらい前に急に体重が減り、それと同時に水を大量に飲む様になりました。当然、水をたくさん摂るので、尿の量も多くなりました。それまで、水分は野菜からとっていたので、水をほとんど飲んだことがなかったのに、急に豹変しました。夏に向かって気温が上昇したから、喉が渇いて水を 補給しているかので、エアコンで気温を少し下げてやればおさまると思っていたのですが一向におさまる気配がなくむしろひどくなったようです。現在では、尿まみれの状態です。(1999/7/16M・M様)
コメント;まず、尿量が増えていること関してですが、症状からして、おそらく腎不全の初期の段階と思われます。ただ、尿が濃いことと臭いがあることから、細菌の増殖がかなりあると判断します。おそらく潜血反応がでると思いますが、膀胱炎を起こしてこれが腎臓に達して腎盂腎炎などをおこしたか、あるいは、腎臓自体に問題があって、腎盂腎炎などを起こして、これが慢性化して腎不全の初期に入ったと思われます。これに関してはとりあえず、広域抗生剤のエンロフロキサシンなどで炎症を抑えながら、腎臓の状態をエコ−で確認して、腎臓の腫瘍、膿胞腎、腫大などを確認した方が良いと思われます。これによって治療の方向性が変わってきます。腎臓は機能が壊れてしまうとこれを治すことはできません。補液などをすることで、尿素窒素の値をさげたりということが必要になってくるかもしれません。とりあえず、尿の潜血反応、細菌を見て抗生剤を投与するということは最低でも必要です。
(症例 尿路結石および脱毛)パールホワイト、1年半、メス。尿がでるところ当たりから脱毛しはじめました。今では、脱毛はとまっている感じですが、脱毛している大きさは、しっぽからお腹のあたりまで直径3cmくらいです。脱毛した部分は、パンパンに腫れて、おしっこがたまっているカンジです。もちろん、おしっこもたくさんしますし、ふんもでますし、他には全然異常はないように思われるのです。それから、つい先日、ハムスタのおしっこがでるところを見ると。少し血がでていたのです。大量ではないですし、流れ出るほどもなかったのですが、少しついているなっていうくらいです。どうなんでしょうか?やはり、原因は、ニキビダニとかそういうものなのでしょうか?(1999/9/24 O様)
コメント;脱毛していることに関してはその部位の疾患により皮膚の状態が悪くなったりしてアカルスなどが増殖して脱毛したりします。この子の場合、血尿がでていますから、膀胱炎あるいは尿路結石などを疑います。もし結石などが詰まって尿がでないということや、結石が刺激となって血が出ていたりということも考えられます。これはできれば尿の検査をしてもらい、結石などの疑いがあれば、これを溶かすような薬を使うとよいでしょう。膀胱炎も併発している可能性もありますから、潜血が確認できれば抗生剤などを投与していくことをおすすめします。脱毛は疾患に伴う2次的なものと思われますから、これは血尿の疾患を治していけばこちらも自然に治ってくるでしょう。
(症例 腎炎)家にはジャンガリアンの男の子生まれて約3ヶ月。飼っている環境は金網のケージで、下にはパインチップを敷いています。このケージにはチューブがついています。(プラスチック製)この頃、このチューブの中に茶色の臭いのきついおしっこみたいなのが、付いている事があります。これは今までに2〜3回ありました。それに、前はあまり水ボトルでは水分を取らなかったのに、この頃は水ボトルで水分を沢山取ります。夜だけで、2回は飲んでいます。どうかよろしくお願いします。(1999/10/7 A・M様)
コメント;茶色の臭いのものですが、ジャンガリアンはお腹に臭腺がありますから、この臭腺の分泌物でしたら問題はありませんが、尿ですと、これが血尿などでしたら膀胱炎、あるいは腎炎を疑います。多飲多尿がありますから、腎不全の可能性は高いかと思います。原因としては尿路系からの細菌感染あるいは膀胱炎からの波及などが考えられ、治療としては尿路系に効く抗生剤の投与が必要になってきます。あとは、先天的な腎臓の変形であるとか、腎臓の腫瘍などさまざまな原因が考えられるので、腎臓の触診はしてもらったほうがよいでしょう。
(症例 慢性腎不全)ゴールデンハムスター 雄 2歳3ヶ月。4ヶ月ほど前から、多飲多尿(ウオーターボトル1本/日)の症状有り。食欲などは異常がなかったのですが、2日前より、突然水分を取らなくなり、尿も今日はほとんどしていません。小屋からもほとんど出なくなり、たまに出てくるときも足元がおぼつかなく、ふらふら、よれよれと歩きます。先生のホームページを見て、はちみつやりんごをおろしたものなどを与えていますが、ほとんど食べません。目も開いてないようで、エサを直接与えようとしても、凶暴になり水分などが十分に与えられません。今は食べてくれるものを与えています。急激に弱っており、動物病院につれていくことが、良いのかどうかの判断がつきません。今にも死んでしまいそうな様子です。今後どのようにすればいいのか、先生にご意見いただきたいです。(2000/2/16 I・M様)
コメント;2才3ヶ月ということで年齢もかなりたかいと言えます。初めに多飲多尿があって今は尿が出ないと言うことですから、慢性の腎不全の可能性が高いです。慢性の腎不全には病気の段階があって、初めは多飲多尿ですがそのうちに症状が進むと乏尿になります。乏尿になると状態はかなり危険です。尿素窒素という値も上がってきて尿毒症で死んでしまいます。ただ、腎臓は一度壊れてしまうとその細胞は治せませんので、残っている腎臓の細胞で維持していくということをします。慢性腎不全の治療は維持という延命になりますから、補液などをしていかに残った腎臓で生きていくかということになります。乏尿になってしまうとかなり状態がわるいですが、処置としては利尿剤を使って補液をするということしかできません。年齢的なものも含めて急激に悪くなる可能性が高いです。病院でどこまで治療できるかはわかりません。延命ということを希望されるのでしたら補液などをして尿素窒素を下げてあげるということをしてもらってください。無理にと言うことであれば自宅でゆっくりとさせてあげるのも治療であると思います。
(症例 膀胱炎)ジャンガリアンハムスター、オス、約1才半が血尿をしました。飼育状況は金網ケージ(床はプラスティック)パインティップを敷き詰めています。去年の夏、お腹にカサブタみたいのでき病院に連れて行く。昨日から食欲無し。小屋にこもったまま。血尿する尿をだそうとするが出ていない(ようだ)。お尻の辺りが膨らんでいるようにみえる。病院へ連れて行く。診断・・・・膀胱炎の疑い。腫瘍ができている可能性があるが小さい動物のためレントゲンにでは見つけにくいといわれる。老齢なので外科的治療は無理なので薬を飲ませ、内科治療をする。以上のような状況です。3日前まで、まったく元気だったのに、なぜ突然元気がなくなったのでしょうか?剥がしたところから細菌が入ったのでしょうか?(2000/2/24 K・N様)
コメント;まず、血尿ということでしたら膀胱炎を疑います。あとは尿を見てみて結晶成分などがないかどうかを見ます。尿のPHがアルカリ性に傾いているために結晶成分ができやすいことがあります。結晶成分が先にできて膀胱炎を起こしたのか、膀胱炎をおこして結晶成分が出てきたのかは何とも言えませんが、この場合は抗生剤と、消炎剤、止血剤を使って膀胱内の炎症を引かせます。結晶成分が非常に多かったりすればこれが詰まってしまったりということがありますから、早めに薬を用いて処置をすることが必要です。さらに、細菌も膀胱内で繁殖している可能性もありますから、必要なら尿の培養を出して抗生剤の感受性試験をすることもします。尿が取れれば、スティックで細菌がいるかどうかはすぐに解りますし、トマツをひいてみても細菌がいるかどうかは、すぐに解ります。対処療法でしかないですが、早めに処置をすることが肝心です。膀胱炎はたいてい飼い主さんが血尿をみて気が付くのがほとんどです。この場合、慢性化するハムスタ−もいます。しかしながら、気長に薬を飲ませていくと治ることもあります。もともと犬猫でも膀胱炎は長引くものですから、細菌感染起こしやすい場所柄時間がかかるのはやむをえません。
臭腺の部位と膀胱炎とはあまり関係はないかと思いますが、ひとつ気になるのはハムスタ−で臭腺炎を起こす子は、尿がお腹に付いてしまうような環境が原因で起こす子がいます。もし金網のケ−ジで巣箱をトイレや寝床としているような不衛生な環境でしたらそれは環境が原因によるものですから、膀胱炎もそういう環境から起こってきた可能性もあります。もしチップを用いていないのでしたらその辺も改善していかないといけません。