腹水の原因には、心臓疾患によるもの、肝臓疾患によるもの、腹腔内腫瘍などがあります。腹水が貯まると、腹水の貯留により胸腔が圧迫されますから、呼吸困難になってきます。腹水による呼吸困難であれば腹水を抜去して呼吸を改善させます。腹水を抜去した時点で、腹水に血液が混入するような血様の腹水であると、腹腔内腫瘍の可能性が高くなってきます。腹腔内腫瘍の場合は、腹水が貯留して呼吸困難で状態が悪いですから、外科的な処置などは、不可能になってきます。腹水から腫瘍細胞が見えてきたり、あるいは触診で腫瘍が確認できれば、抗癌剤などの内科的療法で治療を進めていきます。
(症例 会陰ヘルニア)私が飼っているゴールデンハムスター(雄、生後5ヶ月、アルビノ)が睾丸から肛門の付近に、腫れが「寝起きのときに」見られるのです。起きてしばらくすると、腫れはひいて、なくなっています。下痢や便秘はなく、えさもよく食べ、元気に動き回っているので、その腫れが病気かどうか、わからないのです。これはどういうことなのでしょうか。(1999/5/5 K・M様)
コメント;もし中心線から片側が腫れていて、それが大きくなったりしているのでしたら、おそらく年齢なども考慮して会陰ヘルニアではないでしょうか。会陰ヘルニアとは、骨盤腔から膀胱や腸などが出てしまうもので、オスに多いです。おそらく膀胱などが飛び出していて、尿がたまると膨らむということで、寝起きに腫れているのかと思われます。確定診断にはレントゲンを撮れば確認できます。これはもし、排尿障害などが生じると、重症になりますから、このような危険性があるのでしたらこの部位を縫合しなくてはいけません。
(症例 腹水症)ジャンガリアンの雄、だいぶ太っている、6か月。家は、プラスチックの小屋で風の通りが悪い。えさ箱、回し車、かじり木を入れてあります。前は、雌と一緒に飼っていましたが、今は、1匹です。買ってきたときは目の下におできのような物ができていて、今は、餌のせいか、小さくなってきています。最近、暑くなったからなのか、毛が濡れたように湿ったようになっていてボサボサです。今は、網のゲージに移しましたが毛並みは、そのままです。足の爪も変なふうにまがっていて、たまに出血していることがありました。すぐに、止まるので病院へは、連れていっていませんが心配なのでメールを書きました。早く、病院で見てもらった方がいいでしょうか?(1999/6/2 O・F様)
コメント;毛並みが悪いというのは、どこかに疾患があって調子が悪いときに起こります。これはプラスチックケ−スの風通しの問題ではありません。夏でもプラスチックケ−スで全然平気です。これは分泌物などが異常に出ているためです。太っているというのは肥満で太っているのか、それとも腹水などがたまっていて太っているのかということで全然疾患が変わってきます。腹水症で毛が濡れたようになることがありますが、このへんを疑ってレントゲンあるいはエコ−で確認できるかと思います。腹水症の場合は、心臓あるいは肝臓に伴うものなど、様々です。臓器疾患は治療が困難ですから、この場合腹水を抜くという対処療法を早めにすることをおすすめします。
(症例 鼠頚ヘルニア)ゴールデンハムスター1歳4か月雌。昨年の8月頃から腹部の右足付け根のところに瘤のようなもの(直径1.5cm程度)ができ,動物病院に連れていったところ,脱腸との診断を受けました.ハムスター自体飼って間もないころだったので,その場はなるほど,と聞いて帰ってきました.その後,今までとりあえず元気に生きていたので,あまり気にしないようにしていたのですが,最近になって瘤が大きくなってきました.触ってみると瘤は大変柔らかく,しこりにはなっていないようです.食欲は通常通りあるし,糞も通常通りの固さ・色で,一応元気なのですが,ハムスターの行動をよく見ていると,しょっちゅう瘤の所の毛繕いをやっているようで,毛が薄くなっています.ハムスターにはよくあるとのことだったのですが,本当によくある症状なのでしょうか?(1999/7/12M・T様)
コメント;脱腸と言うよりは腹膜ヘルニアといいます。腹筋の間の鼠頚輪という穴から腸が出るもので、ハムスタ−に多いのではなく、メスに多い症例です。これの一番心配なのは、この出ている腸がこの腹筋に挟まってしまってしまうことです。これをカントンといいますが、こうなると、通過障害が起こって1-2日後には死亡します。これは麻酔をかけて腹壁の鼠頚輪部分を縫合してしまえば問題ない症例です。
(症例 腹水症)ジャンガリアンハムスターメス1歳6ヶ月1匹でゲージで飼っています。藁をしいています。2週間ほど前にお腹にシコリがあったのですが、最近になって下腹部が異常に膨らんでいる状態になりました。触ってみると、ぷよぷよとした感じで水が入っているように思えます。ハムスター自体は食欲もあるのですが、目やにも出ていたり回転車で走ったりはしない状態です(1999.7.13 T・T様)
コメント;おそらく腹水症であると判断します。腹水は心臓、肝臓などの疾患のほかに腹腔内腫瘍によってもできてきます。原因がわかればそれに対しての処置が必要になります。腹水はたまってしまうと、胸郭を圧迫して呼吸困難になりますから、早めの対応が必要です。1999.7腹水を採取したところ血様液の物質が出る。GPTなどは正常値、糞のいびつさがあることから、腹腔内腫瘍の可能性が高いため、抗癌剤、止血剤で対応中
(症例 脾臓腫瘍)ジャンガリアンハムスター2才ですが、通常起きてくる時間に出てこなくなり、散歩もまったくしなくなりました。触診の際、腹部にかたいものがあるといわれました。子宮筋腫の疑いがあるとの診断で先生と話し合った結果、そのまま摘出手術を行いました。 手術の結果、子宮にも確かに膿や腫瘍がありましたがその他に脾臓に子宮サイズのおおきな腫瘍がありました。なんでも、脾臓にはたくさんの血管があるため摘出は不可能ということでその腫瘍はそのままで手術は終わりました。 腫瘍の細胞を取ることも命にかかわったのでできないとのことで、何の腫瘍かわかっていません。ただ、7割以上が悪性の可能性がある為、「覚悟を決めるように」と通告されました。脾臓の腫瘍には治療方法がないと言われてしまったのですが、本当にもう治らないのでしょうか?また、こうなったのは何が原因なのでしょうか?(1999/8/6 F・B様)
コメント;脾臓の腫瘍についてですが、症例的には少ないです。腹腔内の腫瘍では、腎臓の腫瘍の他に、脾臓、腸管膜リンパ腫などがあります。脾腫自体は脾臓に腫瘍ができて、脾臓の腫瘍から出血したりして、腹腔内に血液がたまったりします。腹水とにているので、腹水かと思って抜くと、血液だったりして、腹腔内腫瘍ということが解ったりします。脾臓の腫瘍に関しては治療は難しいです。脾臓は血液が非常に多いところで、部分切除ができません。摘出するのでしたら全摘出になります。ただ、ハムスタ−などでの全摘出は技術的にも非常に難しいです。脾臓には後大動脈からの腹腔動脈の分岐になりますし、胃の動脈もかなり接近していますから細かな血管を結紮しながらの摘出ですので、慎重に注意しても出血などをする可能性が高くて、麻酔のリスクに加えて、出血のリスクもかかります。このようなことで摘出をするよりはそのままのほうが寿命としては長く生きる可能性はあるかと思います。このままでも出血はしていますから、貧血も進みますし、腫瘍ということですから、回復ということは難しく、抗癌剤などで腫瘍の増殖を抑制して止血剤などを投与してなるべく出血を抑えるという対処療法ということが、現在の獣医医療の限界です。
(症例 腹部腫瘍による腹水)ジャンガリアン1年9ヶ月オス。最近動きが鈍くなってきたと思っていたのですが、よくよく見ると、下腹部が異様に膨らんでいました。手にとって見ると、下腹部全体の中に、硬い大きなしこりのようなものがあります。素人考えでは、便秘の程度のひどいもののような気もします。しかし、2,3日前から動きが鈍いという症状は急激に悪化しており、今日は階段の昇り降りもできなくなってしまいました(足が滑って転げ落ちてしまいます)。食欲もなくなり、大好物のヨーグルトにも興味を示さなくなりました。巣の中にある糞は、以前よりかなり細くなっています。(但し、最近糞をしているか否かは確認できません)。回し車を回すこともなくなってしまい、たまに回すときは歩く程度の速さになりました(以前は飛ぶような速さで回していました)。歩くときもよぼよぼしています。(左右に大きく振れながら歩きます)。まだ年齢も若い方ですし、ここ数日の状態の悪化ぶりを見ると、むしろ病気なのではないかと心配しています。(1999/8/14M・Y様)
コメント;腹部が腫れるのは様々な疾患が考えられます。腹部腫瘍による腹水、心臓あるいは肝臓疾患による腹水、副腎皮質機能亢進症、子宮蓄膿症、臭腺分泌物の貯留などです。腹部にしこりがあるようでしたら、腹部腫瘍による腹水を疑います。腹水の確定診断にはエコ−やレントゲンを用います。腹水がたまっていることが確認できれば腹水を抜きます。これを顕微鏡でみて、腫瘍細胞などが確認できれば腹部腫瘍と判断します。あるいは外側からバイオプシ−といって注射針で刺してみてもわかります。腹水の場合はこれが貯留しすぎると胸部を圧迫しますから、呼吸困難になってきます。これを軽減するために腹水を抜いて、酸素をかがせて、腫瘍であれば内科的に抗癌剤などを投与します。
(症例 腹腔腫瘍による血様腹水・腸管閉塞)スナネズミ、3才、メス。腹部膨満、食欲減退、呼吸速拍、下痢以降便通なしで来院。エコ−レントゲンで腹水を確認して腹水を10cc抜くが血様腹水。腹部臭腺開口部腫瘍を摘出している。1ミリ程度の腫瘍が若干腹部に触診できる。腹腔内腫瘍の可能性のため、抗癌剤、止血剤、抗生剤で対応。診察後は食欲もでて、ゆであずきや甘い果物をよろこんで食べていました。しかし今日仕事から帰って見ると、ぐったりしており、ずっと眠った状態です。起きても目をぱっちり開ける事もなく、動きもとても鈍くなっています。食欲もなく、ヨーグルトをあげても舐めようともしないため、液体のカロリーメートをシリンジで飲ませましたが、自ら飲もうとはしません。薬もむりやり口の中にいれている状態です。お腹は張っている感じではありませんが、あいかわらずうんちはでていない様です。先生もおっしゃっていたように出血による貧血になっているので、このような状態なのだろうと思ってはいますがあまりにもいままでの状態と違いすぎて、このまますぐにでも死んでしまうのではないかと不安でなりません。年齢のこともあり、昨日の説明で後少しの命だろうとは納得しているものの、一日でも長く生きていてほしいと思います。(1999/8/30 K・Y様)
コメント;おそらく食事をしばらくしていましたから、このへんで腸のなかに糞がたまってきているというのが食欲低下の原因と考えられます。かなりの確立で肝臓あるいは脾臓の腫瘍に加えて腸管への腫瘍の転移による腸管の炎症と狭窄によって糞がでていないものと推測されますから、これが原因で食欲がないのだと思われます。貧血もありますが、腸管閉塞による食欲低下となると状態的にはかなり危険な状況であると思ってください。犬猫でしたらこのような腸閉塞などではすぐに手術に踏み切りますが、この子ですと年齢がかなり高く、貧血もあるような状況では、開腹手術ということは非常に危険でとても手術に耐えられるような状態ではないので、このまま見守ってあげるのが一番ストレスのない処置だと思われます。腹腔内出血か、腸閉塞のどちらかで、もっと年齢が若ければ手術が可能なのですが、たまたま2つの疾患が同時に併発してしまったことはかなり厳しい状況にさせています。糞が出ていませんから、固形物を無理に与える必要はありません。水分や糖分のある蜂蜜を溶いた物などを与え、薬を口に含ませてあげるようにしてあげてください。このへんの内科的療法で改善させるのが、現在の獣医医療では精一杯の処置です。
(症状 腹水) ジャンガリアンハムスター1才10ヶ月のオス。 ここ1、2カ月の間に急に下腹部が膨れて動きも鈍くなりました。気のせいか、おしっこの出も悪いようです。以前はあまり飲まなかった水も最近よく飲むのが気になります。ただ、おしっこが比較的よく出ているときにはお腹が少し小さくなるようです。動物病院を訪ねたところ、お腹に水が溜まっているようだが、他に症状もないし、治療自体がストレスになるので今のままで様子をみましようと言われました。このままにしておいていいものかどうか心配です。トンネルで接続しているトイレの砂でよく遊んでいたのですが、そこに行くのも辛くなったのか、大好きな砂浴びもほとんどしなくなりました。(1999/11/1S・M様)
コメント;まず、お腹が腫れていることに関してはエコ−でもレントゲンでもよいですから、水がたまっていれば、これを抜いてあげないと胸郭を圧迫して呼吸困難になります。確かに治療はストレスになりますから、この腹水を抜くという行為がストレスで死んでしまうことも考慮しなくてはいけません。このお腹の水は、腹水と言いますが、腹水の原因はさまざまなものが考えられ、心臓疾患、肝臓疾患、あるいは腹部の腫瘍によるものなどいろいろです。尿に関しては多飲多尿という症状がでているのでしたら腎臓の疾患を疑います。慢性腎不全などがあるとこのような症状を示したりしますが、腹水がたまるという症状を考慮すると、例えば、腎臓に腫瘍があってそれによる腹水ということも考えられます。いずれにせよこのままにしておけば呼吸困難になりますから、すぐに腹水を抜いてみて、これの成分などによっても治療方針が異なってきます。心臓疾患があれば強心剤を、腫瘍であれば、抗癌剤などを投与していく必要があるかと思います。