裁量労働制と裁量企画手当制(三菱電機)との違いについて

裁量労働制の対象拡大を許すかどうかは、労働法制改悪の最大の焦点のひとつです。現在の裁量労働制はデザイナーや研究部門など11業種対象業務となっています。

この制度は〃みなし労働時間制〃で、実際に1日13時間働いても、あらかじめ「8時間とみなす」ことになっていれば、それは8時間労働なのです。

月に50時間から100時間も残業している職場に裁量労働制が導入されると、法的には残業がなくなります。

三菱電機が1994年4月に導入した裁量企画手当制(正式名称:裁量企画手当方式)は、一定の残業時間までは裁量企画手当として支払うという制度。裁量制になじまない事務・技術部門に適用されています。裁量労働制とよく似た制度です。

これは、20時間以下の残業であっても20時間分の残業代を裁量企画手当として支給する。20時間をこえる残業・休日労働を〃命じた〃場合には上長の許可をへて1時間につき裁量割増率(35%)による割増金を加えた裁量企画手当を支給するというものです。

実際には、20時間以内に「効率」をあげ「成果」を求められたり、上長が申請をしぶるために、20時間以上の残業代ははなかなか申請しづらく大半が〃ただ働き〃(サービス残業)となっています。しかし、法的には労働者が20時間以上の残業を申請すれば企業側は20時間以上の残業代を支給しなければなりません。実際に、少なくない労働者が働いた時間分をきちんと請求しています。

しかし、労働法制改悪では、裁量労働性をホワイトカラー全般に拡大しようとしています。裁量労働制が導入されるとこれまでの残業代がなくなるのです。

こんどは一律の「裁量手当」だけ。仕事の負荷も長時間労働の実態は変らないのです。三菱電機も裁量企画手当制を導入するときにこう言っていました。

「将来的には裁量労働の導入を視野に入れながら、当面はそこにソフトランディング(軟着陸)のために残業手当(裁量企画手当)という概念を導入する」と。(k)

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